契約書に盛り込む内容

自由契約の原則にもとづき

契約書とは、単に定型的に交わす書類ではありません。
その取引に関わる重要な項目について、あとで言った言わないといったようなことにならないために、厳密に起こるべき事態を想定して記録し証文をとっておくという意味で大変に重要なものです。
日本は信頼の文化があるため、「こんなことを言ったら失礼なんじゃないだろうか」といった配慮で細かいところは決めずにいるということを美徳のようにしていることもありますが、ことビジネスにおいてはそうした態度は褒められるものではありません。
契約書をきちんと定めておくということは、取引をする相手方にとってもプラスになることであるということを忘れず、お互いの条件をしっかり定めていくようにしましょう。

契約書には本来的には法的な拘束条件があるわけではなく、自由契約の原則にもとづき自由に書式や記載内容を変えることができます。
ですが、自由といっても毎回毎回その相手によって内容を一から定めていくというのは大変に手間のかかる作業です。
ですので、ほとんどの企業では先に契約書に織り込むべき基本的規定項目を定めてテンプレート化しておき、新しい取引先ができたときにはそのシートに従ってお互いの条件を詰めていくようになっています。

基本的規定項目を定めておく

契約書における基本的な項目としては以下のようなことがあります。

①何をするための契約書であるかという「目的」
②契約が成立したときに何をどういうふうにするかという「条件」
③売買契約など対価支払のときの「瑕疵担保責任」
④契約終了前に当事者双方に責任がない事故などが起きた場合の「危険負担」
⑤契約をなかったことにする場合の「解除条件」
⑥当事者いずれかが債務不履行になったときの「損害賠償」
⑦債務者が債務不履行になった場合の「保証人」
⑧その契約における特別な項目として定める「定型条項」

などです。
これらはどれも非常に重要な項目なので、漏れがないようにしっかりと定めておくようにします。
新人社員などでよく間違えてしまうのが、最初の「目的」を曖昧な表現にしてしまうということです。
「目的」とは「事業を発展させるため」や「A社およびB社の利益を生み出すため」といったような漠然とした目標的なものではなく、「土地AをB社からC社に売却する」といった具体的に何と誰と誰がどうするかといった他に解釈のしようもないように記載するものです。
多くの企業は過去から使われてきた見本があるはずなので、それらをよく読み間違いのないように作成していきましょう。