契約書の注意点

契約書の書式は自由

契約書はその内容や書式は全て自由となっており、必ず特定の書式にのっとり作成をしなくては効力を発揮しないというようなものではありません。
契約書は本来ならば口約束でも成立する当事者間の契約内容について、あとから「言った」「言わない」というような争いが起こらないように、実際の取引の前にきちんと詳しい内容を定めておくために作ります。

ですのでその書面に記載されている内容がはっきりとしており、かつ当事者双方の同意の印となる署名や押印があればそれだけで契約書としての要件は成立します。
ただし後から変造されたことが疑われる場合には契約書の内容そのものが無効になることもあります。

契約書は印刷物であっても手書きでもよく、縦書でも横書きでも全く問題はありません。
大きさもA4やB5のような定形のものでなくとも、メモの切れ端などであってもよいのです。

契約書を交わしたあとには、同じ内容のものを作成して双方で保管をしておくのが通常ですが、1通だけであっても内容に問題がなければそのまま使用をされます。

契約当事者を明確にすることが大切

反対にどれほどしっかりと作成しているように見える契約書も、その内容に曖昧な点があったり契約当事者が明確になっていない場合には契約書として成立しないことになります。

作成した契約書に契約当事者の片方しか署名がなかったり、金額や日程などに空欄部分があるというような場合です。

契約書を締結した当事者を明確にするということは大変に重要です。
通常会社間の取引などにおいては特別に相手の身分を証明する手段が必要にはなりませんが、初めての取引相手や遠方の相手と契約をするときにはしっかりと相手から身分を証明する書類を提出してもらう必要があります。

契約当事者を証明する方法としては、個人の場合には印鑑証明、法人の場合には登記があります。
署名と並んで実印を押印するときには印鑑証明や登記で使用したものを使うようにします。

本人を確認するための手段はそうした書類だけでなく、きちんと本人に会って話をしてみるということも大事です。
初回の契約においては内容もそうですが、あとから本人ではない、そんな契約はした覚えがないというような反論を受けないためにしっかりと当事者を確認しておくことが重要になります。

契約内容が無効になる場合

基本的には自由となっている契約ですが、場合によってはあとから無効と裁判により判断されることもあります。
契約が無効になるケースとしては「強制法規に違反する場合」と「公序良俗に反する場合」の2つがあります。

「強制法規」とは刑法や道路交通法などあらかじめ定められている罰則を伴う法規です。
例えば契約において「運搬に際しては公道を120km以上で走行すること」というような内容があった場合にはそもそも契約内容の執行には強制法規に違反をしなくてはいけないので無効となります。

次の「公序良俗」も似たようなもので、社会一般的に許容されない倫理的に問題のある内容のことをいいます。
人身売買や愛人契約などといったもので、明確に法律で規定はされないものの社会秩序として問題があるときにはその契約は無効として扱われます。