相殺契約書

相殺(そうさい)とは

債権に関する面での「相殺」とは、何らかの売買取引などを行うにあたり、当事者同士で債権がある場合、それを同じ金額で消滅させることをいいます。
例えば3,000万円の物件を売買する際、売主が買主に4,000万円の債権があったとしたら、両方の債権を相殺し、買主の債権額はゼロに、売り主の債権額が残り1,000万円になるという契約を行うものです。

相殺契約をすることで、別途現金のやり取りをする必要がなくなることや、すでにある債権の返済などが解決するというメリットがあります。
こうした相殺契約にを締結するために作成される書類が「相殺契約書」です。

相殺契約を行うにあたっての要件など

相殺契約は債権の未払いなどを回収できるというメリットがありますが、さまざまな条件を満たしていない場合、後にトラブルが発生してしまう可能性も考えられるため、契約書を締結するためには注意が必要です。
またトラブルを起こさないためにも、相殺契約を結ぶにあたって3つの要件が定められており、その3つすべてを満たさないと相殺契約を結べない決まりとなっています。

3つの要件のひとつ目は、売買契約を行う当事者同士が、同じ種類の債権を対立させているということ、2つ目は債務の弁済期であるということ、3つ目は「相殺禁止事由」に当てはまっていないことです。
相殺禁止事由とは、何らかの相殺を禁ずる合意があったり、法律上相殺が禁止されている債権であったり、自働債権にならない債権など、相殺契約を結べない条件に当てはまっている場合には、相殺契約を結ぶことができません。

合意でない相殺が行われるケース

相殺契約書は、双方の合意のもとで相殺契約書を作成して締結させるものですが、まれに片方の同意を得ずに相殺が行われる場合があります。
例えば、金融機関で融資を受けていて、その返済が著しく滞った場合、銀行などの金融機関は融資を受けている人の預金を返済に充てて相殺することができます。

例えば1,000万の融資を受けていて返済を滞納し、銀行に300万円の預金があった場合に、300万円を相殺して銀行が返済に充てることが可能です。
この場合は、相殺契約書は締結していませんが、事後、銀行から融資者に「相殺通知書」が郵送されます。

相殺契約は状況によって適さないケースもありますが、いろいろな面でメリットが大きく、条件が合う場合は契約書を締結させるケースが多いです。
相殺方法については、双方の合意のもとで細かな変更を加えることも可能なので、契約書の作成については、専門家が作成することでより正確なものになるため、契約書締結の際は法律に詳しい専門家に依頼することをおすすめします。